頭が熱くなる。
「知らない」
枕に顔を埋めた。何となく。
何となくであってべつに動揺してるわけじゃないってなんか、嘘つきたくなる。意地。
平静でいられない雰囲気にいたのだから当然、当然なのに。私が私じゃなかったことを思い出して今さら羞恥で頭が痛い。
「顔上げて」
「何で、」
「見たいから」
芽吹の手が髪を撫でる。今顔上げたりしたら彼の思うつぼだな、なんて思うのに顔を上げれば深いチョコレートの眼が笑みを浮かべていた。
きれい、なんて考えていた私に、芽吹がキスをしてくる。冷房で冷えた唇に、次は私からキスをして。
彼の頬を引っ張る。
「おなか空いた」
午後4時を表示する時計。目を見開いた芽吹はなぜか頷いて、私の指先を自分の頬から剥がした。
それでまた懲りないように二、三度キスをして、上体を起こす。
「食いに行こ」
忘れてた、と言いたげな表情に頷いた。
「芽吹の奢りね」
「まじか」
ベッドから落ちていたシャツを拾い上げて渡す。ついでに見つかった制服のリボンを自分の襟首につけて、靴下を履き直した。
午前中だけ学校だったせいで昼ごはんを逃した胃は小さく音を立てて、芽吹の笑いを誘う。私の昼ごはんの時間を奪った張本人なのに。
シャツを羽織っていつもの着こなしに整えている彼は不意に私を見て、つまらなさそうな表情をした。
「それ、いつも着けねーじゃん」
自分の首元を指さした芽吹に首を傾げる。
制服のリボン、気に入らないらしい。
「今日だけ。似合わない?」
「いや取りにくい。手間取る」
「変態」
気に入らないのはそういう理由だった。
「似合ってるけどね」
「今言っても挽回できないからね」



