「そんなら今日から友達よろしくね、彗ちゃん」
「うん」
「テキトーに返事してないよね?」
「うん」
テキトーに返事をするなと距離を詰めてくるきらきらしい笑顔が、眩しい。見慣れないはずなのに見慣れてしまったのが悔しい。
なぜか機嫌が良くなってしまった砂原が、SNSのアカウントを教えて、とスマホを片手に身を乗り出してくる。
「面倒臭いから嫌」
「いいじゃん。友達なんだし」
膨れてみせる彼に目を逸らした。
本当にくるくる変わる表情についていけない。こんなに感情豊かな人がサキ以外にいたんだ。
ずっと話を続ける彼をちらりと見ると、彼の後ろのずっと遠くに私を見てるあの人がいる。気だるげな表情、ホワイトブロンド。きれいで冷たい。
微笑みとは程遠い無表情が貼り付いたその人は、そのまま真っ直ぐ自分の席に向かっていった。学校で会う表情で。
平静のなかで気が綻ぶ。
「…でさ、彗ちゃん聞いてる?」
「うん」
砂原に視線を移せば、不思議そうな表情が私を見ていた。返事をしたけど彼は首を捻り、キョロキョロと辺りを見渡す。
それで合点がいったように姿勢を戻して、机に上体を突っ伏して頬杖をついた。
「深山と彗ちゃんって、どういう関係なの?」
冷房の風がじわりと届く。
「わからない」
名前がついているような、そんな関係じゃないことだけが確かな接点。私は、そういう出会い方をした。
何か斬新な出来事とか新しい希望とか、キラキラしたものらしい感情は出会い頭から皆無だった、と思う。彼にとって。
窓際の日光と天井から冷気が入り交じって肩にあたる。そうだって思い込んでるだけかもしれないけれど。
「友達以上恋人未満的な? それとももっと爛れたカンケイなの?」
「朝からする話?」
「だって今聞きたいから」
にっこり笑った砂原は私を真っ直ぐに見た。
「俺には、彗ちゃんは深山にとって特別な子に見えるよ」



