ウザったらしい言い回しで此方を向いた笑顔が、みるみる不思議そうな表情に変わる。
「何で俺には刺々しい態度取るわけ?」
意味がわからない、とでも言いたげなその表情が意味がわからない。
「面倒事、巻き込まないで」
「は?」
思ったことを率直に口にすれば、砂原は芽吹に向けていたような顔で私を見た。机に頬杖をついて黙っていると彼は顔を顰める。
とびきり不機嫌、というものではないのに。爽やか面で笑顔ばかりが印象的な彼には、すこし意外な表情。
「どういう意味か俺はわかんないし。何か実害でもあるの?」
「実害っていうか迷惑」
首を傾げた。
「芽吹が気に入らないからって私に何かしても意味ないよ、彼女じゃないから」
そういうことだと思っていた。私は。
砂原は芽吹が気に入らないから私に近づくんだって。元々接点があるわけじゃない私に、そういう意図で笑顔を向けてくるんだって。
なぜかさらに顔を顰めた砂原は、重い溜め息を吐き出す。落ちてきた前髪を無造作に流した彼の次の表情は、苦笑だった。
「俺そんなんじゃないよ、そう見えるかもしんないけど」
口を噤んだ私に、砂原は俯いて、そっかーまじかー、と繰り返す。
「じゃ何なの?」
頭を抱える勢いで俯いていた顔が上げられる。意志が強い眼。無駄に印象に残るみたいな、そんな感じの。
「彗ちゃんと仲良くなりたいだけ」
そんな感じの眼は誠実って言葉が似合うと思った。誠実って言葉が似合うのと同じくらい、子どもみたいに真っ直ぐだと思った。
私と仲良くなりたい、とか。物好き。面倒臭い、暑苦しいほどの何かを向けられてる。言葉が詰まる。
私の丁寧な部分が焦りを末端に伝えて、思わず机の上で自分の手を握りしめた。
「深山のこととかカンケーないよホント。それが理由じゃ駄目かな」
困ったような表情に次は私が溜め息を吐き出す。勝ち負けなんてないけれど、あるなら私が負けだと思った。
「別にない、駄目とか」



