一つ困ったことがある。
「彗ちゃん、おはよ」
「…おはよう」
先々週に知ったような人が、朝から煩い。
「おはよっ、砂原くん」
「崎田ちゃんもおはよ。いいじゃん髪型」
「でしょお〜」
しかもいつの間にかサキと仲良くなっている。
あの日以来3日くらいはたまに廊下で会う程度だったのに、いつの間にか朝の挨拶なんてしてる。
サキの席の前でにこやかに会話をしている砂原は、ちらりと私を見て微笑んだ。何を考えているのか全くわからなくて無視する。
面倒臭い。
正直関わりたくない。
「彗ちゃんはテストどうだった?」
昨日終わったテストのことだと思う。結果はまだ出てないのに。
「知らない」
テキトーに返事をして窓の外に視線を向けた。登校してきている人たちで道が埋まっていて、気持ちが落ちる。それも砂原のおかげ、だと思う。
「ごめんねー、砂原くん。今日の糸川、ちょっと機嫌悪いんだよね」
「悪くない。砂原が邪魔なだけ」
「糸川ってば〜」
自分に嫌気が差した。
でもやっぱり撤回できない底意地悪さを肯定したい部分もある。
サキに悪いなあ、なんて思っていても意地を張ってしまう。こんな奴と喋る気なんて流石に無くなってほしい。
「崎田ちゃん大丈夫だよ。ちょっと席外して貰っていい?」
「ええー喧嘩しないでよ? この子の頭突き超痛いんだから」
サキが席を外してしまいそうな雰囲気に思わず彼女を見れば、にっこりと微笑まれた。ひらりと手を振って私を置いていく姿に。
何も言わなかった私と裏腹に、砂原は爽やかな笑顔で手を振り返していて。げんなりする。意味がわからない。
「さて、彗ちゃん」



