悪事通報アプリ

『はぁ?』
最初に顔をしかめたのは蒼だった。

ちょうど蒼の好きな音楽を流し始めたところだったようで、あからさまに迷惑そうな顔になった。
『えっと。ほら、ちゃんと勉強している子もいるしさ』

教室内へと視線を向ける花乃。
そのちゃんと勉強している生徒たちは少しも花乃の方を見ようとせず、見て見ぬ振りをしていた。
『別に誰も迷惑とか言ってないじゃん』

そう言ったのは美羽だった。
美羽はあの頃から天使みたいに可愛くて、自己紹介を聞いたときには友達になりたいと思っていた

だけどこの出来事を見て、美羽は決して仲間になれない相手だと、すぐにわかった。
『あなたが迷惑なら、あなたが教室を出たらいいんじゃないかな?』

美羽の言葉も決してキツイものじゃなかった。
にも関わらず、教室内が凍りついたことがわかった。

私と花乃は1年生の頃美羽と同じクラスじゃなかったから知らなかったけれど、美羽は自分の気に入らないことがあればことごとくそれを排除していくタイプの生徒だったのだ。

中学時代も問題を多く起こして不登校に追い込んだ生徒もいたらしいが、父親が県会議員ということで、学校側はなにも対処してくれなかったらしい。