悪事通報アプリ

☆☆☆

それは新しい学年になって最初の日。
簡単な自己紹介と午前中授業だけで帰れる予定だったのだけれど、先生たちの緊急会議で１時間伸びてしまった。

会議の内容はその頃流行していたウイルスがこの街でも流行り始めたというものだったらしい。
先生たちが会議でいない中、生徒たちは教室で自習をすることになった。

とはいえまだ通常授業は始まっていないから、１年生の頃の復習をすることになった。
真面目に勉強をする生徒もいれば、おしゃべりをしているグループもいる。

そんな中で美羽たち４人は後方の席を陣取ってずっと馬鹿騒ぎをしていた。
スマホを使って大音量で音楽を流したり、メークを始めたり。

そんな彼らのことを全く気にしない生徒もいたし、関わらないように静かにしている生徒もいた。
だけど花乃は違った。

いくら先生がいないからといってあまりにもうるさすぎる。
そう思って席を立ったのだ。

『ねぇ、もう少し音楽の音量を落としてほしいんだけど』
花乃は穏やかな口調でそうお願いした。

決して命令したわけじゃないし、やめろと言ったわけでもない。