悪事通報アプリ

☆☆☆

頬の赤みはどれだけ冷やしても消えることはなかったが、口の中の血の味はすぐに消えていった。

口内の傷は大したものじゃなかったみたいだ。
そのことにホッとしながらトイレから出て教室へ戻る。

そこには4人が戻ってきていたが、明らかに普段の雰囲気とは違っていた。
教室内の張り詰めた空気は吸い込んだら内蔵を切り刻んでしまいそうなくらいだ。

4人は男子と女子に分かれてにらみ合い、一言も口をきいていなかった。
美羽の頬にはタオルが押し当てられていて、おそらく氷嚢がくるまれているんだろう。

鼻の骨が無事だったのか、鼻血はすでに止まっていて形も歪んではいない。
それでも病院へ行ったほうがいいと思うが、雄馬がしたことなので我慢しているのかもしれない。

「すっごい空気だね」
花乃がそっと耳打ちをしてくる。

私はバレないように頷いた。
そして静かに席に座る。

少しでも音を立てれば美羽たちから矢が飛んでくるような緊迫感がある教室内では、誰もが口を開かなかったのだった。