悪事通報アプリ

「先生にバレても問題ないけど、きっともみ消されちゃうもんね」
トイレで頬を冷やしている私の横で花乃がしかめっ面をして言った。

美羽の父親は県会議員だから、先生たちも美羽には甘い。
「もみ消されるくらいなら、自分たちで復讐する。そうでしょう?

花乃の口から復讐という言葉を聞いたのは二度目だった。
それほどまで、花乃は美羽たちのことを恨んでいる。

私は鏡の中の美羽の顔を見つめた。
美羽の口元は歪み、笑っているのか怒っているのかわからない表情になっている。

でもきっと本人は気がついていない。
「あれは神様が作ったアプリだよ。私達のためにね」

花乃の言葉に私は曖昧な表情で頷いたのだった。