悪事通報アプリ

☆☆☆

その後4人で喧嘩が始まったすきをついて私はあの場から逃げ出した。

校舎へ戻ってきたようやく足を緩めたとき、興奮気味の花乃が後ろから声をかけてきた。

「全部見てたよ。すごかったね」
教室に戻った後も人の目を気にすること無く花乃はずっと私と一緒にいた。

他のクラスメートたちはなにがあったのかと驚いた顔を向けてきていたけれど、今の私達にはそれもどうでもいいことだった。

とにかく興奮していた。
あの状況でどうして雄馬が美羽を殴りつけたのか、説明のつかないことが起こったことには間違いがなかった。

「あのアプリのおかげだよ。今日一番の悪事は雄馬からの2発目のことを指してたんだと思う」
「うん。私もそう思う」

もう、認めざるを得ない状況になっていた。
昨日の出来事はただの偶然だとか、私の運が良かっただけだと解釈することもできた。
でも今日のは違う。

雄馬は確実に私を狙っていたし、一発目は私に当てていたのだから。
「そう言えば頬は大丈夫?」
花乃に聞かれるまで殴られた頬の痛みも忘れてしまうくらい興奮状態だった。

保健室へ行こうかとも思ったが、なにがあったのかバレてしまうことを懸念して膵臓の水でハンカチを濡らして冷やすことにした。