悪事通報アプリ

「じゃあ金を出せ」
「も、持ってない」
左右に首をふると涙が頬を流れ落ちて行った。

今まで感じたことのない恐怖から、自分でも気が付かない内に涙が滲んできていたみたいだ。

「じゃあ殴るだけだ」
雄馬がそう言った次の瞬間、私の左頬に拳がぶち当たっていた。

さっきの美羽の平手の何十倍ものある重さ。
頬だけでなく脳みそまで大きく揺れた気がした。

目の前に火花が飛び散ったように見えて、クラクラする。
だけどなんで?

この出来事は回避できるはずじゃなかったの?

どうにか意識を飛ばさずにすんだものの、激しい痛みとショックで頭の中がグチャグチャだ。

さっきまで流れていた涙は逆に引っ込んでしまった。
「今度は本気を出す」

雄馬がまた拳を握りしめたことで、さっきのは手加減していたのだとわかった。
「やめ……」

口を開くと血の味がした。