悪事通報アプリ

その顔はいつもどおりニヤついている。
「お金なんてない。バイトもしてないんだから」

強く言い返すと、美羽が後方を振り向いた。
それを合図にしたように雄馬が近づいてくる。

雄馬はわざとらしく指の骨をバキバキと鳴らながら近づいて、私の前で立ち止まった。

まずい。
逃げなきゃ。

そう思って立ち上がろうとしたところ、雄馬が馬乗りになってきた。
ずしりと体重をかけられて身動きが取れなくなる。

「やめて! どいて!」
必死に身をよじって抵抗してもビクともしない。

筋肉質な雄馬の体は見た目以上に重たかった。
「言うことを聞け。じゃないと殴るぞ」

雄馬が無表情に言う。
右手の握りこぶしが見えて全身から血の気が引いていった。
本気だ。

雄馬は本気で私を殴るつもりでいる。
その大きな拳で殴られたらどうなるか、わかっているはずなのに。

「やめて、お願いだから!」