悪事通報アプリ

☆☆☆

自分で想像していた通り、昼間の体育館内はとても静かだった。
もう少しすれば5時間目に体育の授業が入っているクラスの生徒たちが現れるかもしれないけれど、今はまだ誰もいない。

重たい足をひきずりながらどうにか体育館裏に来ることができたのは、後ろから花乃が付いてきてくれていることがわかっていたからだった。

花乃はいつものように私と距離を保ちながらこっそりとついて来てくれていた。
仮に本当に体育館倉庫に閉じ込められるようなことがあったとしても、花乃がいればきっと大丈夫だ。

「やっと来たぁ? 待ちくたびれたんだけど」
体育館裏へ行くと紫煙が立ち上り、その煙で咳き込んでしまった。

美羽が近づいてきてその煙を顔に吹きかけてくる。
私は吸い込んでしまわないように必死に顔をそむけた。

美羽たちがいた場所の足元へ視線を落とすと、もういくつものタバコの吸い殻が転がっていた。

それほど長い時間待たせたわけじゃないだろうから、食後の一服というやつをしていたのかもしれない。

せっかくの美味しいものをタバコの煙で台無しにしてなにが楽しいのかわからない。

「用事はなに?」
私は美羽ではなく雄馬へ視線を向けて聞いた。

今日呼び出したのは雄馬だからだ。