悪事通報アプリ

美羽たちはたったそれだけのことも邪魔してくるときがある。
声に振り返るとそこには美羽が立っていた。

昨日は薬品をぶちまけて青ざめていたけれど、川並正則が登校してきているためか、いつもの調子に戻ったみたいだ。

「今使ってるから」
昨日みたいに教科書までズタズタにされてはたまらない。

私は自分の体で机の上の教科書を守るように抱きしめた。
「ちょっとだけでいいからさ」
「嫌」

突っぱねる私に美羽の表情が引きつった。
キレる前だとわかり、咄嗟に両耳を手でふさいだ。

「私がこんなに頼んでるってのに、貸してくれないわけ!?」
耳を塞いでいても聞こえてくる怒鳴り声。

思わず体がビクリと跳ねてしまうのが悔しい。
「貸したら、まともには帰ってこないじゃん」

どうにか恐怖心を押し込めて声を絞り出す。
ここは教室だから、他のみんながいるから少しの勇気を出すことができる。

「はぁ? 私があんたの私物壊したとでもいいたいわけ?」
腕組みをして睨みつけてくる美羽に下唇を噛み締めた。