悪事通報アプリ

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川並正則はすぐに幹部を水で洗ったものの、薬品がモロにかかってしまった腕はただれて、先生の車で病院へ向かっていた。

皮膚にかかった範囲が狭かったからよかったものの、あれがもっと広範囲でかかっていれば大変なことになっていたはずだ。

事故があったときはさすがの美羽も青ざめて小刻みに震えていた。
美羽は今他の先生達に事情を説明するため、職員室へ行っている。

「本当に起こるなんて、ビックリしたね」
教室へ戻ってきてもさっきの騒動は簡単には収まらず、みんなざわついている。

そんな中を見計らって花乃が私に声をかけてきたのだ。
「うん。ビックリした」
今はそれしか言葉がなかった。

今朝見たアプリの通りのことが起きて、そして自分で指定した人に悪事が降り掛かった。
こんな非現実的なことが起こるなんて誰も予想していなかったはずだ。

まだ緊張して手のひらに汗をかいている。
「でもよかった。夢奈が無事で」

安堵したようにつぶやく花乃に私は微笑んだ。