悪事通報アプリ

その顔には笑みも張り付いていた。
いつも私をイジメるときに見せる笑みだ。
私は咄嗟に身を固くした。

そんな、まさか。
いくら美羽でも人に薬品をかけるようなことをするとは思えない。
でも実際に美羽はジリジリとこちらへ近づいてきている。

今日使った薬品は皮膚に触れればやけどをしてしまう。
だから絶対に素手でビンに触れないようにと先生に言われていた。

美羽は今も実験用の分厚い手袋をはめているけれど、ビンの蓋が開いているからいつこぼれだしてもおかしくない。

自分の心臓が早鐘をうちはじめ、美羽から逃げるように徐々に後退していく。
だけどここは科学室だ。

教室内には大きなテーブルが9つあり、幅を取っているので簡単には逃げられない。
ちょっと後ずさりをするだけで色々なものが背中にぶつかってしまう。

そんな中美羽がすぐ目の前に迫ってきていた。
「いや……!」