悪事通報アプリ

「こういうところからアプリをダウンロードしたら、ウイルスに感染したりするんだよ?」
「そんなのわかってる!」
「それなら……」

と、止めようとしたところ、花乃が手でそれを制してきた。
「だけどこれが本物なら絶対に夢奈の力になれると思うの」
「私の力に?」

そもそもこれはどういうアプリなんだろう?
なんの説明も書かれていないからわからないままだ。

「そうだよ。ねぇ夢奈。夢奈のスマホでこれをダウンロードしてみない?」
「冗談でしょ? そんなよくわからないものをダウンロードするなんて怖いよ」

「嫌ならすぐに消せばいいよ。それでスマホが壊れたなら、私が新しいのを買ってあげる」
そこまで言うにはなにかがあるんだろう。

花乃はむやみに人になにかを押し付けたりするタイプじゃない。
なによりも、花乃がここまで必死になっているのを見て無視するわけにはいかなくなっていた。

「……わかった。一旦ダウンロードしてみるだけだからね?」
私は横において明日バッグから自分のスマホを取り出したのだった。