悪事通報アプリ

もはや自分たちがやっていることを隠そうともしなかった。

花乃はものの一週間ほどで孤立してしまい、教室内で話かけてくれる相手は誰もいなくなってしまったのだった。

ぽつんとひとりで席に座っている花乃を見ていることはできなかった。
『花乃、一緒にお弁当食べようよ』

そう誘ったとき、花乃は驚いたように目を丸くして私を見つめてきた。
教室内にはもう誰も自分の味方はいないと思っていたのだろう。

私も、美羽たちに目をつけられるのが嫌でなかなか声をかけることができなかったけれど、そのとき初めて勇気を出したんだ。

『……いいの?』
花乃は多くを語らず、それだけ質問をした。

私は『友達とお昼をたべることのなにがダメなの?』と、聞き返した。
その時花乃は泣き出しそうな顔をして、笑った。

とてもとてもうれしそうな笑顔だった。