血管交換シヨ?

「寒くない?」

「うん。あったかい。ねぇ、ツキくん」

「なぁに」

「学校にさ、文芸部あるじゃん。小説書いたりコンクールに応募したりするんでしょ?小説書きたいなら良さそうだけど入部しなかったの?」

「やーだよ。めんどくさい」

「めんどくさいんだ」

「小説は一人でも書けるし、情報交換ならSNSでできる。知識や感性のインプットはそれこそ小説読んだり映画観たりね。切磋琢磨し合える相手が居ることはいいなって思うよ。そういう青春の時間ってさ、今がどんなに苦しくてもきっと一生キラキラしててさ、かけがえのないものになるんだと思う。って、今の俺には想像もできないけど。でも俺はそもそも自由でいたいからさ。決められた義務みたいな時間は嫌なんだ」

「そっかぁ。本気で書きたいなら義務でもなんでもないと思うけど」

「俺にとっては義務かな。その、なんていうか…″部活″って拘束…って言ったら言葉強すぎるかもしんないけど。決められた時間に集まって決められたスケジュールこなして。そういうの、実は苦手。登校だけで精一杯。俺って協調性ない人間だから。自由でいたいの。書きたい時に書いて、書きたくない時はとことん書かない。それでいいんだ」

いたずらっ子みたいな目をしてハニかむツキくんを見ていると
それが一番正しいことに思えてくる。

そういう場所に属していたら「そういう人なんだ」って、
もしかしたら美桜ちゃんも少しだけ理解できるのかもしれない。

でも形がはっきりしていない夢を、
カタチがはっきりしない時間の中で信じていくのは誰だって怖い。

美桜ちゃんの中のツキくんのカタチはきっと曖昧なままだ。

ツキくんがどんな場所でもがいていたって
スズはずっと味方でいたい。

そうしていることがツキくんの救いになるのかは分からないけれど。