血管交換シヨ?

「今日なにしよっかぁ」

「え?」

完全にすっきりと目覚めたわけじゃなさそうな
滑舌の甘い口調でツキくんが言った。

「なんかしたいことある?」

「一緒に居てくれるの?」

「違った?泊まらせといて、じゃあバイバイって言うほどには悪い男じゃないよ?」

「もう十分、悪い男だと思うけど…」

「あはは。間違いない」

「でしょ」

「じゃあさー、俺とも共犯者になってよ。中原だけずるい」

「どこに嫉妬してんの」

「いいでしょ?」

「…いいよ」

「やった」

ツキくんは時々変に子どもっぽい。

スズは悪い共犯者ばっかりは嫌なんだけど、
でもツキくんとお揃いになれるのならそんなことすら脳死で受け入れてしまう。

恋はどれだけバカになれるかの勝負なんじゃないかとすら思えてくる。

生きて、培ってきた今までの常識や正論は捨て去って、
恋だけを信じ抜く。

リアルの恋愛なんて惨めで滑稽なことばっかりだ。
だから漫画やドラマが存在してるんだって言い聞かせる。

夢やときめきを忘れない為に。
人の心を正しく導く為に。
愛は美しいものなんだと信じていられるように。
心の救済措置として。

そんなことを必死で言い聞かせているスズの恋は、
たぶんこの世で一番、最低な恋だ。