正午。

自分でセットしたくせに
部屋中に鳴り響いたスマホからのアラームにビクリと体を震わせながら
目が覚めた。

確か、眠りについたのは朝方六時頃だった。
朦朧とする意識の中で、
十二時には起きようね、なんて言い合って
スマホのアラームをセットした記憶がうっすらと蘇った。

それと同時にベッドのサイドテーブル上の置き時計が爆音のアラームを鳴らす。

あぁ…。
これも確かツキくんがセットしながら
「この時計、音が爆音なんだよ」とか言っていた気がする。

一秒か二秒遅れて、
窓の向こうから十二時を知らせる町内のメロディーが小さく聴こえてきた。

スズの町内でも十二時と夕方五時に似たようなメロディーが流れる。
小さい頃から聞き慣れたメロディーのタイトルを
スズは知らない。

スズとおんなじようにビクリと体を震わせながら爆音のアラームを止めるツキくん。

眠りに就く前から窓の外は白い朝を迎えていたけれど
カーテンの隙間からキラキラと一筋の光が差し込んでいる。

あの、暗めのオレンジ色の照明すら消しているし、
遮光性機能のカーテンのおかげか、部屋は暗いままだから
光の筋がはっきりと視認できた。