血管交換シヨ?

「俺の夢は美桜を幸せにはしてやれない。美桜を大切に思うのなら普通は美桜を選ぶんだろうけど俺は普通じゃないからさ。小説を失くした俺は、もう俺には戻れない」

「美桜ちゃんを…失くしたら、どう…?」

「…分からない」

「ツキくんが一番好きなツキくんで居られるのならスズは何があってもツキくんだけを守るよ」

少しずつ、強くスズに体重を預けていくツキくん。

そのまま押し倒されるようにして
ズルズルと床に倒れ込む。

仰向けになったスズを見下ろすようにして
ツキくんはスズに跨っている。

「スズはずるいね」

「ずるいのはツキくんだよ」

「スズだってずるい。こんな時にそんな可愛いこと言われたら理性なんて保てない」

「理性や倫理観があるのならスズは最初からここに来たりしない」

「俺のせい?」

「どっちものせい」

「…泊まってく?」

「うん」

ふわふわする脳内で
もうその一言しか絞り出せない。

なんにも解決していない部屋で
最低だけが育つ。

ツキくんが傷ついたのなら
半分こ。

もしもスズに嬉しいことが起こったら
それも半分こ。

傷も喜びも半分こして
ツキくんが泣いてしまう理由は全部スズが食べてあげる。

この部屋には窒息してしまいそうなくらいの文字が鎖みたいになって蠢いている。

ツキくんを縛りつける。

小説から逃れられない監獄。

スズだけがこの監獄で抱き締めてあげる。

スズは平気だよ。
あなたの夢だけを信じてここに居るから。
この息苦しい部屋で
スズの腕の中で泣いてもいいんだよ。