「スズ…。でもこのままだったら美桜はどんどん俺の夢に疲弊していくだけだ。あの言葉を言われた時、確かにめっちゃショックだったけどさ。言い返せなかった。怒る権利もないと思った。美桜の彼氏なのに、それらしいことはなんにもしてあげられなかったんだ。黙ってる俺に、美桜は傷ついたみたいだった。だからさ、この前また四人で遊んだ日。スズにもいきなり手出しちゃったし中原だってなんか勘づいてるだろうって。二人にまで迷惑かけらんないからさ。もう平気だよってところを見せて、それから二人で映画でも観てゆっくり過ごそうって約束してたんだけど。やっぱり話題は″そのこと″になってさ」
「そうだよね。だって解決…してないんだもん」
「うん。美桜は″新城がそれでも頑張るなら応援するよ″って言ってくれたけど表情は明るくなかった。″俺の彼女でいる為に″必死で本音を隠してるみたいだった。美桜にとって小説を書いてる俺にはなんの価値もない。それは見方を変えればさ、なんにもなくても俺自身を好きでいてくれるってことなのかもしんないけど。どうしたって俺には…小説を書かない、何者でもない俺に価値を見出せる自信がない。それだって大成してるわけじゃないのにな。そうやって納得したふりしたって意味なんかなかったんだ。生傷に絆創膏貼り続けてさ。乾燥もさせないで余計にふやかして。そうやってつぎはぎしていったって俺らはもう何も変われない。本当に美桜のことを好きならさ、夢なんか捨てて美桜を選ぶのに。それができない俺は美桜のこともちゃんと好きじゃなかったのかもなって、そのことにすら勝手に傷ついて…。人を大切にできない人間に誰かの心を突き動かすものなんか書けっこないよな」
体が自然と動いていた。
気づいたらツキくんの体温を感じていて
また、スズとツキくんの心臓が近くなったことが分かった。
何よりも小説が大切な、スズの大切な人。
美桜ちゃんのことをまったく大切じゃなかったわけじゃないと思う。
ツキくんの中にあった沢山の大切なものと引き換えにしても
一等、守り抜きたいものが小説だったんだ。
それを否定されたこと。
その夢を一緒には愛していけないこと。
美桜ちゃんに突きつけられたツキくんは傷ついて、
だけど大好きな人にそんなことをぶつけなきゃいけないくらい、
恋に追い込まれた美桜ちゃんもまた、
自分の言葉に傷ついたんだと思う。
「そうだよね。だって解決…してないんだもん」
「うん。美桜は″新城がそれでも頑張るなら応援するよ″って言ってくれたけど表情は明るくなかった。″俺の彼女でいる為に″必死で本音を隠してるみたいだった。美桜にとって小説を書いてる俺にはなんの価値もない。それは見方を変えればさ、なんにもなくても俺自身を好きでいてくれるってことなのかもしんないけど。どうしたって俺には…小説を書かない、何者でもない俺に価値を見出せる自信がない。それだって大成してるわけじゃないのにな。そうやって納得したふりしたって意味なんかなかったんだ。生傷に絆創膏貼り続けてさ。乾燥もさせないで余計にふやかして。そうやってつぎはぎしていったって俺らはもう何も変われない。本当に美桜のことを好きならさ、夢なんか捨てて美桜を選ぶのに。それができない俺は美桜のこともちゃんと好きじゃなかったのかもなって、そのことにすら勝手に傷ついて…。人を大切にできない人間に誰かの心を突き動かすものなんか書けっこないよな」
体が自然と動いていた。
気づいたらツキくんの体温を感じていて
また、スズとツキくんの心臓が近くなったことが分かった。
何よりも小説が大切な、スズの大切な人。
美桜ちゃんのことをまったく大切じゃなかったわけじゃないと思う。
ツキくんの中にあった沢山の大切なものと引き換えにしても
一等、守り抜きたいものが小説だったんだ。
それを否定されたこと。
その夢を一緒には愛していけないこと。
美桜ちゃんに突きつけられたツキくんは傷ついて、
だけど大好きな人にそんなことをぶつけなきゃいけないくらい、
恋に追い込まれた美桜ちゃんもまた、
自分の言葉に傷ついたんだと思う。



