血管交換シヨ?

「それで!だから、片想いでもかまわれたいなーとかって寂しさはあるんだから、彼女ともなると尚更だと思う。美桜ちゃんの気持ち、分かんなくもないよ。でも文学賞とかって期限があるでしょ?その期間めーいっぱい頑張ったらさ、ツキくんだって人間なんだからさすがに休憩したいだろうし。そういう時は会えるんでしょ?会えない期間もスパイスっていうか…。小説頑張ったことと、寂しさに堪えて頑張ったことをさ、お互いにご褒美し合えばいいんじゃないかな?」

「スズは聡明だね、きっと地頭がいいんだ」

「そんなことないよ。スズはズルいんだよ」

「なんで?」

「美桜ちゃんが何かを言ってツキくんを困らせたんだとして、美桜ちゃんのそれは突発的な感情を素直に伝えてしまったからだと思う。スズはその結果を聞いた上で、頭で考える猶予があった。だからいいように言おうと思えばできるんだよ。だからスズはずるいんだよ」

「美桜の気持ちも分かる。俺の夢や事情を美桜に押し付けてることは理解してるしそれに応えてくれてたんだから感謝もしてる。美桜が言ったんだ。″小説を書いて、なんになるの″って。鈍器で後頭部ぶん殴られた気がしたよ。俺が一番、突きつけられたくなかった″事実″だった」

「なんになるのって…そんな言い方…」

「俺が小説を書いたって誰も喜ばない、解ってる。どれだけのことを我慢して時間を捧げても努力の積み重ねに酔ってるだけで才能や天才には敵わない、解ってる。解ってるんだ…。俺を好きだって言ってくれる人の気持ちを犠牲にしてまでこんなこと続ける価値は俺にはないのかもしれない。それでもやめられない。バカだよな…」

「ツキくん」

「あぁ…」

「あのね、ツキくん。ツキくんを生きてあげられるのはツキくんだけなんだよ。この世の誰も、ツキくんの代わりに生きてあげられる人なんていない。どれだけ願っても、どれだけツキくんのことを愛していても。だからね、ツキくんはツキくんが一番嬉しいことをしていいの。誰に反対されたってツキくんの人生はツキくんのものなんだから。誰よりも自分が一番、自分を幸せにしてあげなきゃいけないんだよ」