血管交換シヨ?

ツキくんが指定したのは
十八時だった。

夕方過ぎからだなんて一緒に居られる時間が短いし
スズは早い時間から会いたかったけれど
そんなことは言えなかった。

なのに、ツキくんはスズを驚かせるプロらしい。

玄関先で出迎えてくれたツキくんは
「泊まっていきなよ」なんて、
まるで「靴は脱いで上がってね」って至極当然のことと同じみたいな、軽い口調で言った。

「えっ…え、ちょ…ツキくんっ!?」

「ドア、早く閉めてね。虫が入ってきちゃう」

「あ、ごめん…………って、だからっ!えぇっ!?」

狼狽えるスズを見ながらクスクス笑って、
ツキくんはさっさと階段を登っていってしまう。

慌ててスズも黒いエナメルのドレスシューズを脱いで、
「お邪魔します」もまともに言えないまま
ツキくんの背中を追いかけた。