血管交換シヨ?

八月最初の一日目。
水族館の日がやって来た。

中原くんが美桜ちゃんを誘ったのは、
スズがツキくんに水族館の話をした翌日だった。

案の定、美桜ちゃんは
「新城がいいんならいいよ」ってあっさり快諾してくれたみたいだった。

七月中はみんなそれぞれに予定があって
約束は八月になった。

その日が近づいてくるごとに
楽しみよりもスズの頭の中は不安でいっぱいになった。

急にドタキャンされたらどうしようとか、
スズと遊んでもつまんないって思われたらどうしようとか、そういうこと。

でも一番不安だったのは
完全に″友達認定″されてしまうこと。

あぁ、こういう付き合い方なら友達のままでいいや、とか
女の子としてはときめかないな、とか。

その瞬間にスズの恋は死んでしまう。

そういうことを考えるたびに美桜ちゃんの顔がチラついて、
彼女を誘ってまでお出掛けするのにそんなことばっかり考えてしまう自分に嫌気がさす。

本当はうれしいはずなのに
考えるだけしんどくなってしまうから、
憎いはずの大量の宿題ものめり込む材料としては有難かった。

夏休みに入ってから八月までの約二週間で
国語の課題テキスト一冊と、数学のテキスト半分、
それから読書感想文を終わらせたスズに
しろちゃんは「夏休み中は一生恋してたほうがいいよ!」なんて訳のわからない賞賛を与えてくれた。