血管交換シヨ？

「そうそう。それに似てるかも」

「ふふ。変なの」

「そうだな」

「スズも読んでみようかな」

「読んだことないの？」

「うん。文豪って難しそうで理解できるか自信なくて」

「気負いし過ぎだよ。イメージより難しい言葉や漢字ばっかりじゃないし。食わず嫌いはもったいないから読んでみなよ」

「じゃあ貸して。ツキくんの」

「はい」

冗談のつもりだったのに
ツキくんは少しの躊躇もなくスズに本を差し出した。

「いいの？」

「いいよ。あげる」

「え、悪いよ」

「悪くないよ」

「でも好きな本なんでしょ？ツキくんのが無くなっちゃうじゃん」

「あと二冊はうちにあるから」

「え、なんで」

「出版社によってはさ、フェア限定のカバーがあるんだよ。そういうの欲しくなっちゃうから」

「へぇ…意外かも」

「割りとオタクなんです」

「ふふ。コレは？フェア限定じゃなかったの？」

「限定カバーだよ」

「外してるんだ？」

「汚れないようにね。あ、ごめん。カバー、うちにあるわ。今度持ってくる」

「ううん。このままで…、このままがいい」

「なんで？」

「ツキくんに貰ったのはコレが本物だから。カバーはツキくんに譲ります」