血管交換シヨ?

「しろちゃん」

「んー?」

「スズ、幸せになれるのかなぁ」

「無理じゃない?新城くんを好きでいる限り。ほんっとに小説に魂売ってんじゃん」

あの日のツキくんとのことを知っているしろちゃんは
今度こそ顔を(しか)めて見せた。

「ひどーい。傑作が書けたらきっとスズを愛でる時間だって全力で作ってくれるよ!?」

「どうだか?調子よさそうじゃん、新城くん。どうせ傑作がクセになって沼っちゃうんじゃない?」

「えー…これ以上?」

「そもそも傑作が書けたら死んじゃうかもしれないんでしょ」

「あ、ちょっとイジってるでしょ?」

「もー。あんたが決めたんでしょ!?駄々っ子しないでドンと構えてなさいよ!新城くんだってそこがいいって言ってんでしょ?」

「はぁーい、しろちゃんママ」

「あんたねぇ…」

鈴芽、大丈夫だよ。
寂しい時は全部、どうせ私が尻拭いしてあげるんだし。
あんたの駄々っ子には慣れっこだよ。

ね、いつか後悔してくれる?
私に鈴芽の全部を預けてくれなかったこと。

あんたが見落としてしまった、最上級の味方を。

誰よりも鈴芽を幸せにしたい人間が
ずっと隣に居たってこと、

一生、二度と伝えることのできない、
私の恋を。



「血管交換シヨ?」   完.