血管交換シヨ?

あれもこれも、小説の為の材料が散りばめられていたのに、
今はきれいに整頓されている。

「ツキくん、お昼ご飯食べた?」

「まだ。お腹空いた?なんか食べに行く?」

「ううん。何してたの?小説?」

ベッドの横のサイドテーブルには
さっき飲んでいたパックのジュースが置かれている。

「いや。ゴロゴロしてただけ」

「そっか…。今日は小説書かないの?」

「もう書かないよ。言ったじゃん」

ふー、って長めに息を吐き出しながら
ツキくんはベッドに腰を下ろした。

小説から話を逸らしたいのか、
自分の部屋なのに、まるで初めて来る部屋みたいに
キョロキョロと視線を彷徨わせている。

「なんで書かないの」

「別に。ね、スズ。どっか行く?映画とか…ゲーセンとか?バカみたいに無駄遣いとかしてみよっか?」

「行かないよ。ちゃんと話しようよ」

「なんで?なんか食べに行かない?お腹空いたし」

「ツキくん」

「なに」

「はぐらかさないで。ちゃんと話して」

「なに、どうしたの。別に小説は書かないってだけじゃん」

「ツキくんっ!ツキくん…真面目に聞いてよ。″別に″じゃないでしょ?ちゃんと話してよ!なんで急に書かないなんて言うの。美桜ちゃんにだって言ってたじゃん。これからはとことん小説に向き合っていくんでしょ?なのになんで…」