血管交換シヨ?

クラスでは相変わらず会話はできないまま、
スマホで何度かやり取りを繰り返して、
どうにか明日会える約束をすることはできた。

「小説も、明日はお休みなの?」

そんな風にやんわりと聞いてみても
ツキくんは直接的な答えはくれなかった。

ツキくんにとって小説は
生きていく為の柱みたいなものだ。
簡単に失くしたりはできない。

放課後になっても、
うちに帰っても、
翌日、約束の時間になってツキくんのおうちに着くまでずっと、
不安で頭がふわふわして、地に足がついているのかすら疑いたくなるような感覚だった。

「すーず」

ツキくんのおうちの前。
インターホンに人差し指を伸ばしかけていたら
頭上から声が降ってきた。

見上げたら、自分の部屋の窓からこっちを見下ろしているツキくん。

窓のサッシに肘をかけて、
もう片方の手にはパックのジュースを持っている。

そっと触れるように咥えられるストロー。
声も姿も動作の一つ一つ、
全てが奇跡みたいにスズの瞳には映っている。

この″奇跡″がスズの名前を呼んでいる。

あぁ。
天使みたいなあなたの羽根を千切ってさ、
このままそこから落下して、殺してしまえるくらい、
きみの命を自由にできたらいいのに。

なんて思っちゃうくらいに好きだけど
数メートル上の二階から落下しても
よっぽどのことがない限り死にはしない。

なんてことを考えているのだろう。
恋ってやっぱり怖い。
簡単に人を悪魔にしちゃうんだから。