血管交換シヨ?

「お腹空いちゃった?」

「ううん。口が苦い」

「やっぱり。コーヒー苦手なんだろ?」

「うん。見栄張っちゃった」

「可愛いね」

「もー。このタイミングでそれはほんとに悪い男だよ、ツキくんって」

「なんで?嫌?」

「ヤじゃないけど…」

「じゃあいいじゃん。なんか飲むの?」

「クリームソーダ飲みたい」

「俺も」

「ツキくん、こういうの飲むんだ?」

「どういうイメージですか。大好きだよ」

「おいしいよね。特にアイスクリームと氷の接着面」

「シャリシャリでね」

「うんっ」

張り詰めていた空気がとろけてゆく。

話し合いの直後なのに。
こんな風にツキくんとのやわらかい時間が大好きだって
心の底から感じてしまうんだ。

スズとツキくんは″最低″を抱えたまんま。

美桜ちゃんの心が軽くなったとは思えない。
最後の美桜ちゃんの言葉や態度は紛れもない、彼女の優しさだけだ。

傷つけたのはスズなのに
スズよりも何歩分も大人な美桜ちゃんに救われた事実も、
誰かの心を殺してしまうかもしれない恋が、この世には在るということも
消すことはできない。

そしてスズの中に、そんな仄暗いものが存在していたことを
スズは抱えて生きていく。

ただ一人。
ツキくんの為だけに。