血管交換シヨ?

「美桜。本当に今更だって分かってる。でもまずは謝らせてほしい。俺がちゃんと美桜と向き合って話さなきゃいけなかったのに美桜の善意に甘えて自分のことばっかりだった。美桜が俺に向けてくれる感情をちゃんと見ようともしないで自分のことばっか押し付けて。もうずっと傷つけてたのにこんな別れ方して。本当にごめん…」

「向き合って話をしていたら何か変わってた?ちゃーんとお互いが納得のいく、中間を取って、理解し合って、今もまだ彼氏と彼女でいられたの?」

「それは…」

「そうだよね。新城にとって、自分を理解してくれて平穏を守ってくれる人は必要だけど、それは全部小説の為。小説を書く為の自分のメンタルとか平坦な日常とか。それを新城の為に守れる人が必要だっただけだよね。私は違う。新城のことが異性として好きだったし彼女にしてくれたんならそれなりの付き合い方をしたかった。私達まだ高校生だよ?彼氏の機嫌だけを気にして、会いたい時に会いたいって言えない。あぁ、今日もまた新城の夢に負けたんだって。それを毎日毎日受け入れられるほど、私は大人なんかじゃないから」

「美桜はなんにも間違ってない。美桜が思ってることとか俺が強いていることをちゃんと考えもしないで許してくれるだろうって何様かを気取ってきた俺が最低だった。美桜の言う通りだよ…。話し合っていたとしても俺は俺の夢を捨てることはできないし結局小説のことばっか考えてしまうと思うんだ。だから…」

「だから私達は最初から、生きている世界も、生きていきたい世界も違った。それだけのことだよ。私が生きてきた世界には私が生きていけるだけの酸素がある。でも新城にとっての十分な酸素はない。そこでちょっと我慢して一緒に生きてよなんて言ったって新城を殺しちゃうだけだもん。それならもう…ここを出てってよ。新城には新城が生きていかなきゃいけない世界が在る。それがそのバカ女が待ってる世界でしょ」