ツキくんの心配事は的中した。

喫茶店の入口。
木製ドアの前。
スズ達よりも先に到着した美桜ちゃんが立っている。

「美桜ちゃんっ…!ごめんね、スズが呼び出したのに遅れちゃって…」

「時間ピッタリ。別に遅れてないでしょ」

「でも美桜ちゃんより先に来てないと失礼っていうか…」

「どーでもいいわよそんなこと。てかなんで中原もいんの?」

三人の視線が中原くんに集中する。
中原くんはなぜか照れ笑いを浮かべた表情で頭を掻いた。

「俺が美桜と話してくるって報告したらついて来ちゃったんだよ」

「はぁ?遊びに来たわけじゃないんだけど」

やっぱり美桜ちゃんもスズとおんなじ反応をした。
スズに言われた時よりも中原くんは嬉しそうだった。
怒られてるのに。

やっぱり中原くんはきっとまだ美桜ちゃんのことが好きなんだ。
スズとツキくんには″美桜ちゃんに会いたいから″って言ってくれてよかったのに。

「中入ろ。ここで喋ってたら迷惑だろうし」

ツキくんが木製ドアを押して入店していく。

スズ達も続いて入店したら
キッチンカウンターの中からオーナーのおじいちゃんが窓側の広い席へと促してくれた。