血管交換シヨ?

県営運動公園の集合場所は
中央駐車場を抜けた先の広場だって聞かされていた。

公園に到着するには
最後に大きくて長い坂を越える必要がある。

視線の先に緑色の芝生や
小さく遊具が見えてくる頃にはしっかりと汗をかいていた。

「やーっと着いたぁーっ!」

しろちゃんが気持ちよさそうに大きく伸びをした。

学校よりも高い場所にあるからか、
肺いっぱいに息を吸い込んだらちょっとだけ冷たくて
新鮮、に感じるスズは影響されやすい人間なんだろう。

「ねぇー、たぶんスズ達だいぶ遅かったよ」

指差した先には生徒達の列がほとんど出来上がっている。
他人事だけど、ほぼほぼ揃った全校生徒の列は壮大だった。
こんなにも沢山の人間がスズの視界に収まっていることが不思議だった。

「早くいこ」

「しろちゃん」

「ん?」

「お弁当…」

「あ…あー、ごめん。言ってなかったよね?クラスの子と約束してて。スズが約束なかったらこっちにおいでよ。みんなにも紹介したいし」

「ううん!スズも約束してるの」

「そっか。じゃあおやつ交換しに行っちゃうねぇー?」

「任せてよ。いいの揃えてますよぉ」

ニッて笑い合って、手を振って、
スズ達もそれぞれのクラスの列に合流した。