血管交換シヨ?

「大きく進展なんてしてないよ。恋人になったわけでもないし。友達以上恋人未満ってやつ?」

「付き合わないの?」

「うん」

「なんで?美桜ちゃんとはもう別れてんだろ。世間体?」

「煽ってます?」

「じょーだん」

ふと、思った。

ツキくんと美桜ちゃんは美男美女で目立ってたし
一年生の頃から付き合っていたみたいだから
二人の関係を知っている人も多かった。

でも二人が別れても自然に溶け込むみたいに噂にもならなかったし、
別れた理由も囁かれなかった。

美桜ちゃんが仲のいい子に理由を話せば、
それこそ女子高生にとって大好きなネタだと思う。

あっという間にスズは悪口の標的になっていただろう。
その覚悟だってしていたけれど、スズに直接言ってくる人もいなかったし、
コソコソと噂している気配すら感じなかった。

「美桜ちゃん…」

「どした?」

「別れた理由、誰にも言わなかったのかな…」

「あー…それな。あのさ、」

「うん?」

「美桜ちゃんの親友の子、俺とクラス一緒なんだよ」

「そうなんだ」

「つきみちゃん達が別れてちょっとして、美桜ちゃん達が別れたのって本当なのかって訊かれたんだ。″美桜、あんなに好きだったのに″って…」

「そう、なんだ…」

「俺がつきみちゃんと美桜ちゃんと仲良かったから聞いたんだって。俺も別れたとしか聞いてないって言った。美桜ちゃんはただ…」

「ただ?」

「″新城が大事にしてる物まで一緒に愛せていなかったから″って、それだけを言ったんだって。美桜ちゃんは美桜ちゃんの中で自分のことも許せてなかったんだろうな」