「ごめんね、我儘言って…寂しかっただけなの。小説頑張ってね。本当に楽しみにしてるから」
「ありがとう。送っていこうか?」
「ううん。平気。そんな時間も全部小説に当てなきゃもったいないよ!」
「あはは。ありがとね。気をつけて」
「うん。バイバイ」
トン、トン、トン、
ゆっくり階段を降りていく。
ちょっとずつ小さくなっていく足音が
ツキくんにも聞こえているのかな。
スズが部屋を出た一秒後には
イヤホンをつけて、また小説だけの世界を生きているのかもしれない。
外は晴れているように見えていたけれど
見上げた空は薄い雲が広がっていて白い。
一面、白い空に、青い穴。
雲が流れていけば青空になるのかもしれない。
ツキくんが教えてくれた、短編のイメージのメロディーが青い穴に吸い込まれていくみたいだった。
打算的で汚くてずるいスズの感情も吸い込んでくれたらいいのにな。
まだ一緒に居たいって素直に言えていたら
恋人みたいにデートできたかもしれないのに。
一つ、夢が叶ったスズは
少し欲深くなった。
それでも求めてしまうのなら
それだけのものをツキくんにだって与えたい。
スズはツキくんのお荷物になりたいわけじゃないもん。
ツキくんが一番、安心して夢を見ていられる場所に。
苦しい時に泣ける場所に。
スズならなれる。
ツキくんが信じていてくれるから。
「ありがとう。送っていこうか?」
「ううん。平気。そんな時間も全部小説に当てなきゃもったいないよ!」
「あはは。ありがとね。気をつけて」
「うん。バイバイ」
トン、トン、トン、
ゆっくり階段を降りていく。
ちょっとずつ小さくなっていく足音が
ツキくんにも聞こえているのかな。
スズが部屋を出た一秒後には
イヤホンをつけて、また小説だけの世界を生きているのかもしれない。
外は晴れているように見えていたけれど
見上げた空は薄い雲が広がっていて白い。
一面、白い空に、青い穴。
雲が流れていけば青空になるのかもしれない。
ツキくんが教えてくれた、短編のイメージのメロディーが青い穴に吸い込まれていくみたいだった。
打算的で汚くてずるいスズの感情も吸い込んでくれたらいいのにな。
まだ一緒に居たいって素直に言えていたら
恋人みたいにデートできたかもしれないのに。
一つ、夢が叶ったスズは
少し欲深くなった。
それでも求めてしまうのなら
それだけのものをツキくんにだって与えたい。
スズはツキくんのお荷物になりたいわけじゃないもん。
ツキくんが一番、安心して夢を見ていられる場所に。
苦しい時に泣ける場所に。
スズならなれる。
ツキくんが信じていてくれるから。



