血管交換シヨ?

千文字にも及ばないくらいの短編は
愛が特効薬だとは限らない、
接種する者にとっては致死量の毒になり得る、みたいな
少しダークサイドな作品だった。

まるでスズとツキくんの関係性。
だってきっとスズの愛は死に至る愛だから。

退廃的でアンダーグラウンドで惨めで滑稽。
そう評価されたって、スズへの特効薬はツキくんだけなんだもん。

これほど限られた文字数の中で
こんなにも感情をノックする表現ができるなんて。

やっぱりツキくんって凄い。
ツキくんは天才だって興奮するスズに、
ツキくんは「天才かぁ。なってみたいね」って言って
ちょっと悲しそうな目をした。

その目は謙遜だってスズは思ったけれど
ツキくんは本当に心から天才なんかじゃなくて
才能すらもないんだって思ってるのかもしれない。

だからこんなにも小説が苦しいのかもしれない。

他の何よりも大切なのに。

ツキくんが本当に天才だったなら
きっと美桜ちゃんとも、もっとうまくやれてた。
スズからの甘い蜜になんか、惑わされることもなかったのだろう。

誰よりも、ツキくんは凄いんだって、ツキくんに一番信じていてほしいのに。