「鈴芽…?」
階段を登ってきたしろちゃんが、
階段の手前でぼーっと立ちすくむスズの顔を覗き込む。
しろちゃんを待たせ過ぎてしまっている自覚はあった。
急いで待ち合わせの昇降口に行かなきゃって頭では思うのに
美桜ちゃんの冷たい声とか、
中原くんの遠ざかっていく背中とか
本当は断ち切らなきゃいけないはずのツキくんの、大好きな笑顔とか
そんなのがスズの身体中をぐるぐると廻っているみたいで動き出せない。
「ごめんしろちゃん」
「なんか騒ぎになってたよ。二年の女子が喧嘩してるって。鈴芽、全然来ないしもしかしてって思ったんだけど…」
「うん…スズと美桜ちゃん…。でも喧嘩じゃないよ。スズが悪いから」
「…新城くんのこと?」
「…うん」
「とりあえず学校出よっか?どっか座ってゆっくり話そ。パフェ…とかって気分でもないよね?うち来る?」
「いいの?」
「お母さんも″最近鈴芽ちゃんどうしてるのー″って会いたがってたから喜ぶよ」
タメなのにお姉さんみたいな表情でしろちゃんは微笑んでくれた。
スズが今、誰かの優しさに触れる権利なんかない。
それでもしろちゃんの優しさを手放す勇気なんてない。
全てを曝け出して軽蔑されてしまったら。
ツキくんを失くしてしまうくらいなら
世界中から軽蔑されたって、理解されなくったって平気だって思うのに
しろちゃんの前では矛盾がスズを見て嘲笑っている。
覚悟ができていないスズを。
ツキくんとしろちゃんを天秤にかけるなんてこと、できないスズを。
気持ち悪い。
スズが何よりも誰よりも、
気持ち悪くてずるくて弱い人間なんだ。
階段を登ってきたしろちゃんが、
階段の手前でぼーっと立ちすくむスズの顔を覗き込む。
しろちゃんを待たせ過ぎてしまっている自覚はあった。
急いで待ち合わせの昇降口に行かなきゃって頭では思うのに
美桜ちゃんの冷たい声とか、
中原くんの遠ざかっていく背中とか
本当は断ち切らなきゃいけないはずのツキくんの、大好きな笑顔とか
そんなのがスズの身体中をぐるぐると廻っているみたいで動き出せない。
「ごめんしろちゃん」
「なんか騒ぎになってたよ。二年の女子が喧嘩してるって。鈴芽、全然来ないしもしかしてって思ったんだけど…」
「うん…スズと美桜ちゃん…。でも喧嘩じゃないよ。スズが悪いから」
「…新城くんのこと?」
「…うん」
「とりあえず学校出よっか?どっか座ってゆっくり話そ。パフェ…とかって気分でもないよね?うち来る?」
「いいの?」
「お母さんも″最近鈴芽ちゃんどうしてるのー″って会いたがってたから喜ぶよ」
タメなのにお姉さんみたいな表情でしろちゃんは微笑んでくれた。
スズが今、誰かの優しさに触れる権利なんかない。
それでもしろちゃんの優しさを手放す勇気なんてない。
全てを曝け出して軽蔑されてしまったら。
ツキくんを失くしてしまうくらいなら
世界中から軽蔑されたって、理解されなくったって平気だって思うのに
しろちゃんの前では矛盾がスズを見て嘲笑っている。
覚悟ができていないスズを。
ツキくんとしろちゃんを天秤にかけるなんてこと、できないスズを。
気持ち悪い。
スズが何よりも誰よりも、
気持ち悪くてずるくて弱い人間なんだ。



