「……よ」

「おはよう琉衣さん」

「お、おはよう琉衣ちゃん」


それぞれの挨拶に、わたしも何とか返す。


「おっ、おはよう、ございます」


どうもうまく顔が笑顔にならない。
かと言って作り笑顔も出来なくて。


「……お前らしい。そういうとこ俺は好き」

「え?」


颯くんが笑ってわたしの頭を撫でてキッチンへ行く。


「うわ、その言葉的に颯くんも告白した感じですね。やっと」
「え、そうなの?俺もしたし……なんか気持ちいっぱいいっぱいにしたらごめんね」
「やっとは余計だっつの」


冷蔵庫を閉める颯くんは響くんを睨む。
すると、インターホンが鳴った。

誰だ?という視線がまじわるも、颯くんはモニターを見に行く。


「え……ん?は?」


「何、誰なんです……か」


驚きモニターから離れる颯くんと響くん。


「また村田さんの抜き打ちとか?って……ん?これ壊れてる?」


雪さんも覗き込むも、首を傾げた。


「なわけねぇだろ!親父だよ!親父!」



え──!!?



「ななな、なんで来んだよっ、なんかしたか!?」
「俺かも……」
「颯くんじゃない?」

「なんか色々ありすぎてどれで何言われるのかすら分からねぇ……壊したドアの件か!?」


慌てだす御曹司にわたしも心臓が慌て始めるも、玄関から鍵の開いた音がした──