「あーあ、起きちゃったかぁ。……というかそんな見ないでよ。見せつけてもいいとは思ったけど……やっぱり部屋に行けばよかった」

「うっせ!んなことはどうでもいい!それより小柳から離れろ!!」


わたしに覆い被さる響くんを、颯くんは胸ぐらを無理やり掴んで離した。


「どういうつもりだ、響……」

「何が?それを琉衣さんが言うならまだしも、颯くんにそんなこと言う権利あるんですか?……彼氏じゃないのに?」
「っ……」


上体を起こす中、響くんの鋭い視線が颯くんへと刺さり、颯くんは一瞬言葉に詰まったように見えた。


「……ん、え……えっ、喧嘩!?」


騒ぐ声に雪さんが目を開けると、二人を見て一瞬にして顔色をかえ立ち上がる。


「待って、何してるの?俺よくわからないけど、よくないってことはわかるよ?」


胸ぐらを掴む颯くんの手を、雪さんはゆっくりと掴み離す。
再度、何があったのと聞く雪さんに響くんは服のシワを正しながら答えた。


「別に。喧嘩はしてませんよ。まぁ……強いて言うなら、僕の恋路を邪魔されたってとこ」


見守ってほしいんだけどなぁ、なんて響くんはソファに座りながら颯くんと雪さんを見上げる。