しかもお風呂上がりの響くんの体も熱いから、余計に熱が伝わってくるというか……。

このまま腕を回したら、体温が微熱くらいには上がる気がして。回すに回せない。

ためらったまま動けなくなってしまったのもあるけど。……でもこれ以上ぎゅっとされたら、熱出そう。

一瞬だけでも回せば、響くんも満足するかも──

なんて、固まったままの腕を動かしかけた刹那、頭がソファにつきわたしの視界に天井がうつった。


──え?


戸惑う間もなく、視界はわたしを見下ろす響くんでいっぱいに。
ソファに倒されたことをなんとか理解出来たものの……身動きがとれず。


「……え、ちょ、ちょっと待とう!?」
「いいですけど、何を待てばいいの?」


な、何をって言われると……なんて表現していいのか分からなくなる。


「えっと……その……そう!こういうことは好きな子にするべきで──」

「なら何も問題ないですよ」

「え?」


響くんはわたしを見下ろしながら、やわらかく微笑み、わたしの頬を撫でる。



「だって僕、琉衣さんのこと──」




「──おい!!」



突然の大声に、わたしの肩が跳ねる。だけど響くんは全く驚くことはなく、目を伏せてため息をついた。