──響くんの条件に頷き、そのままソファへ戻ると、颯くんたちから少し距離をとってわたしを横抱きにしたまま響くんは腰を下ろした。
「……そばにいるって、このまま?」
「もちろん。僕の膝と腕の中にいれば、二人にとられることはないしね。それに、颯くんたち全然目開ける気配がないし?……なにしてもバレないかも」
「え?」
「なんでもないよっ。じゃあまずは……思いきり抱きしめることにします。あ、琉衣さんも抱きしめかえしてくれないと、ですよ?」
と、力を徐々に強めてくる響くん。
──す、すごいいい匂いするっ。これ、シャンプー?だとしたら同じシャンプーとは思えないほどいい匂い……。
「早く」
「えっ」
私が抱きしめ返さないから、もっと力が込められてしまった。
近さが近さだけに、動揺しないためシャンプーのこととか考えたのに、ダメみたい。
耳許で──"早く抱きしめて"。
響くんが囁くように言うから、急に恥ずかしさが込み上げてきた。
夏だからって理由じゃない。
ものすごい体が熱い。顔も熱い……。



