ね、って言われても……。

というより響くんの顔……明らかに何かたくらんでいるような、そんな表情してるよね?
このままどこへ連れて行くつもり?わたしの部屋?それとも……響くんの?しかも起きたらってことは……朝、まで?


いや、どちらにしてもまずいっ!わたしの武器、松葉杖もないんだし。このまま連れて行かれるのは阻止しないと。


「き、響く──」
「ここで見せつけても僕は構わないですけど……そうします?琉衣さんがそれでもいいなら」


いやっ……どちらもお断りしたいところなんだけどっ!その意思を込めて首を横に振れば、


「じゃあ僕の部屋に行きましょ」


"僕の部屋"──まずい。大変まずい予感しかしない!
おろしてもらうために、少しジタバタともがいていみるしか……!


「あ、こらっ……この体勢で暴れないでっ!」
「なら……ここでゆっくりしよう、ね?ね!」


響くんを見上げ、お願いするように手を合わせれば、何故か響くんはわたしを見るなり頬を染めた。
そして唇を噛み、葛藤するような表情をしてから、折れるように息を吐いた。


「……っ分かりました。でも僕のそばにいるのは絶対条件ですからね。颯くんと雪兄さんよりもくっついてくれてないと嫌ですから」