御曹司たちの溺愛レベル上昇中




改めて言葉にすると、ほとんどを任せてしまう形で申し訳ない気がするけど。


「トントン拍子だな」
「き、奇跡的に……」


本当、ありがたいことだよね。

教室に着いて、苦笑いするわたしに小鳥遊くんはそっぽを向いた。


「……まぁ、あれだ」
「ん?」
「な、何かあれば言えよ……手伝ってやらなくもないし」

「ありが……あれ、行っちゃった」


ありがとう、と言い終える前に小鳥遊くんはそそくさと教室へ入っていった。
あれは照れてるのかな。
言い方はぶきっちょだけど、優しいのは伝わってくる。

何かあればって、言ってくれる小鳥遊くんがいるし村田さんにも相談できる。


「……がんばろっ」







帰宅してすぐ、大きな鞄を持って玄関へ。


「今日からシェアハウスなんだ。もう、ここで寝ることはないけど……片付けが終わるまで通うからあと少しよろしくね」


部屋に向かってわたしは小さく笑った。

はたから見たらおかしいかもしれないけど、長年住んだお家だから、礼儀だよ。礼儀。


「いってきます」


スマホに送られた地図を頼りに、シェアハウスへ。

「……さすが村田さんだ、すごい分かりやすいや」


少しくらい道に迷ったり、分からなくなったりするのかな?と思っていたんだけど、

そんな心配は皆無だったみたい。
色付けされたルートのまま進めば、あっという間に着いた。


「ここだ……」


見た目は他の家よりは大きいな……くらい。
アイボリーの外観が素敵。
でもシェアハウスって言われないとわからないかも。

わたしは、鞄にいれていたポーチから鍵を取り出した。

シェアハウス行きを決めた翌日、村田さんが鍵を届けに来てくれて──


『お三方がいない可能性もございますので、インターホンは鳴らさず、鍵をお使いください。新しい方が来られる旨は伝えてありますので』


ご心配なく、と。


「……本当にいいのかな」


手にした鍵を一瞥する。



そして、わたしはゆっくりと鍵を開けた。