[side ゆい]

「好きだ。」

とっさに、その言葉が理解できなかった。

それが告白と気づいたのは3秒後、佐竹くんが気まずそうに目を逸らした時だった。

佐竹くんが私を好き?

だって、相手は学校のアイドルのような存在。 

私のことなんか眼中にあるわけがない。

そう思ったとたん、詩音くんの顔が頭に浮かんだ。


「ごめんなさい。」


もし、これが私が詩音くんに抱いていたような想いを佐竹くんが私へ向けていたとしたら……そう思うと、とっさに謝罪の言葉を口にしていた。

佐竹くんの方を見ると、口を引き結んで、目を陰らせている。