もう一度

一ヶ月前、泣いてたのは振られたと思ったから?

「返事は…なんて言うつもりだった?」

拓斗は少し考え答えた。

「申し訳ないけど…断ろうとした。」

少しホッとしてしまった自分がいた。

そんな自分に嫌気が差す。

天川の幸せより自分の幸せを願った。

天川が好きなのは拓斗なのに…。

胸がつきっと痛んだ。

俺がもっと拓斗みたいに明るくて、社交的で、天川に好かれるような俺だったら、良かったのに。

なんで、俺じゃないんだろう。

「どうした?もしかして、英語の小テストヤバいのか?」

俺の顔が険しいのに気づいたのか、拓斗が話しかけてきた。

天川のことが好き、なんて言えるはずもない。

「何でもない。」

すると拓斗は女の子が集まってきたのを見て集団の中に入っていった。

一人になってもなお、心臓の音がやけに大きく響いていた。