もう一度

「あ、じゃ、カギ返しとくので…」

私がカギをつかもうとしたらすっと大きくて分厚い手が伸びてきた。

「返しとく。」

「…はい。ありがとうございます。」

ぺこぺこと会釈をして図書館をでた。

案外怖くはない?のかも。

カギを取るときに触れた指を手で包み込む。
じんわりと温かい。


空を見上げてまだ沈んでいない夕焼けに大きく深呼吸した。