推しにおされて、すすむ恋



「俺たちのために案を出してくれたのに、まさか巻き添えにしちゃうなんて。ごめんね、ゆのはステラじゃないのに……。撮影、嫌じゃない?」


 ツキン

胸がきしんだ。
撮影が嫌だから、って理由じゃなく。


『ゆのはステラじゃないのに』


この言葉に、「今は夢を見ているだけで、現実じゃない」って思い知らされたから。

この場にいるけど、しょせん私は一般人で……。合宿が終わったら、ステラじゃなくなる。動画を作る側から、見る側に戻るんだ。

また画面越しにノアの姿を拝む毎日。
その日常が、戻って来る。


「……」
「ゆの?大丈夫?」

「え、うん。大丈夫」
「……本当に?」


向かいの席から移動した玲くんが、隣の席へ移る。

さっきより近くなった玲くんに照れちゃって……思わず顔を下げる。すると頭上から、優しい声が降って来た。


「俺ね、嫌なんだ」
「え、嫌?」


顔を上げると、眉を下げてちょっと悲しそうに笑う玲くん。

何に、悲しんでいるの?

首をかしげた私の顔を支えるよう、玲くんの温かい手が頬に寄る。