「もし変な噂が広まったら、なに?」
「広まったら……は、恥ずかしい、です」
「……っぷ」
綾瀬くんは、こらえきれなかった笑みを吹き出した。そして私の頬から手を離し、頭をぽんぽん撫でる。
「変な噂が流れるのが〝嫌〟なわけじゃないんだね」
「え、……あぁ!」
「ふふ。ゆの、素直すぎ」
綾瀬くんはグーにした手を口元に添え、笑いながらペットボトルを私に返す。
「合宿中、困ったことあったら俺に言って。仮ステラの秘密はバラさないし、フォローもするよ」
「あ、ありがとう。
でも……なんで、そこまでしてくれるの?私、綾瀬く……玲くんのことも、騙そうとしたんだよ?」
それなのに、真実を知っても尚、協力してくれるなんて……。
やっぱり玲くんが、お姉ちゃんのことを好きだからじゃ――
「ゆのが気になるからかな。放っておけないっていうか」
「……え?」
思いがけない言葉に、地面を見ていた視線が上がる。
お姉ちゃんのために私をフォローしてくれる……ってわけじゃないんだ。



