シリアル・ホラー

 親はまだ帰って来る時間じゃない。ボクには兄弟もいないので、この時間に家の中に誰かがいるのはおかしい。ボクは音がしないようにドアを開け、静かに階段を降りていった。
 何か武器とかあった方がいいかな? 最近、強盗事件が頻発しているとニュースで言ってた。死人も出ているとのことだったので、ボクは少し恐ろしくなってビクビクと周囲を警戒しながら進んだ。
 音はもう何も聞こえない。人の気配もない。最大限注意しながら、ボクはリビングのドアを開けた。

「え……」

 うちのリビングはフローリングで、まん中にカーペットが敷いてある。テレビとソファ、ローテーブルがあるごく普通のリビングだ。奥がダイニングキッチンになっていて、いつもは母が料理などをしている。リビングとダイニングキッチンの間にはダイニングテーブルがあって、食事はいつもそこで摂る。
 そのテーブルの上に、人が倒れていた。

「だ、だれ……?」

 スーツを来ている男の人で、うつ伏せに倒れている。テーブルを完全に覆うように、手足を広げていた。顔はこちらを向いていたが、髪が掛かってよく見えない。そしてピチャピチャと水音がした。

「う……」

 強烈な鉄錆の臭い。これはもしかして…… 血だ。ちょっとした擦り傷とかで血が出たことはあるが、ここまで強烈な血の臭いを嗅いだことはない。ダイニングテーブルの端からは、真っ赤な血がしたたり落ちていた。