シリアル・ホラー

「先生、それはつまり、田原たちをボクが殺したのかって疑ってるんですか?」
「ああ、いや、そういうわけじゃないんだ! ただ動機があるやつには、みんな聞いてるって感じで」
「どっちだって同じです。ボクが人を殺せるわけないじゃないですか」
「う、うむ、まぁそうだよな。すまなかった」

 容崎は頭を下げるが、ボクは内心ドキドキだった。確かにボクは殺してなんかいないが、妄想したのは事実だし、その妄想通りに殺されたのも事実だったからだ。
 相談室を出た後も、ボクのドキドキは収まらなかった。



「ただいま」

 まだ昼過ぎだから、家には誰もいない。ボクは冷蔵庫から牛乳を出して飲むと、コップをシンクに置いて二階へ上がる。着替えてスマホを充電器から外して起動する。
 こういうクサクサした時は、すべて忘れてゲームに没頭するに限る。殺人ゲームの「殺戮原野」だ。砂漠のような荒れ地を彷徨いながらアイテムを探し、PK―― つまり「プレイヤーキル」をくり返していくゲームだ。RPGなどは仲間と協力してモンスターを倒していくが、このゲームにおけるプレイヤーはすべて敵。ログインしているゲーマーは、すべて敵なのだ。ボクはかなりの高レベルプレイヤーで、一部のプレイヤーからは暗殺者(アサシン)と呼ばれている。的確なところで待ち伏せし、確実にプレイヤーを殺していく。もちろん、そのプレイヤーの持っていたお金やアイテム、武装などは倒した者の総取りだ。ボクはそうやって勝ち上がってきた。

 ドンッ!

 2時間ほどかけて2人殺したところで、階下から大きな音と振動が聞こえてきた。